盗撮癖は自然に治るか?

12.03.2024

盗撮癖は自然に治るか?

盗撮癖、つまり他人のプライバシーを侵害して密かに撮影する行為は、非常に深刻な問題です。この行為が引き起こす心理的、社会的な影響は計り知れず、盗撮を行う人自身にも様々な問題をもたらします。しかし多くの場合、捕まるなど発覚してから自分の行為の意味に気づき、「懲りた、もう辞めよう」と思い付きますが、実際何も対処をしないまま放置することが多いでしょう。盗撮癖は治療などを受けずに何もしなくても、自然に治ることは可能なのでしょうか?

自然治癒の難しさ

多くのケースにおいて、盗撮癖は自然に良くなることは難しいと考えられています。以下の理由から、自己改善や自然治癒が困難な場合が多いです。

  1. 根深い要因: 盗撮行為の背後には、心理的な問題やストレス、自己肯定感の低さ、社会的スキルの不足など、さまざまな要因が絡んでいることがあります。これらの問題が解決されない限り、盗撮癖も改善されにくいのです。
  2. 問題認識の欠如: 多くの場合、行為者は自分の行動が他人にどれほどの影響を与えるかを理解していません。「バレなきゃ迷惑はかけてない」と根拠なく思い込んだり、自分が困ったと感じないことも多くあります。このため、行動を変えるためには、自らの問題を認識し改善意欲を持つ必要があります。
  3. 習慣化: 盗撮行為は一度始めると、習慣化しやすい側面もあります。特に、刺激を求める気持ちから、同様の行為を繰り返すことが多く、これが悪循環を生み出します。

生物学的要因

  1. 脳の報酬系: 盗撮行為は、一時的な快感をもたらすことがあります。これは、脳内でドーパミンが分泌されることによって起こります。ドーパミンは快楽や報酬に関連する神経伝達物質であり、これが繰り返しの行動を促す要因となります。つまり、盗撮を行うことで得られる快感が、行動を習慣化させるのです。
  2. 衝動性: 一部の人々は、脳の特定の領域において衝動性が高く、自己制御が難しい場合があります。カメラのデバイスが手元にあると「つい」「魔が刺して」盗撮したり覗いたりするなど、法的・倫理的に問題のある行動を咄嗟にかつ繰り返し行なってしまうこともあります。特に前頭前皮質の機能が低下していると、判断力や抑制が弱まり、不適切な行動に走りやすくなると思われます。

医学的要因

  1. 精神障害: 盗撮癖は、いくつかの精神的疾患とも関連があります。例えば、パラフィリア症(Paraphilic Disorders)やストレス関連障害は、盗撮行為の要因となり得ます。他にも、抑うつ、強い不安(強迫)、心的トラウマ、過度の飲酒などの関連性もあることもあります。これらの障害については、専門の医師や心理士による診断と治療が必要です。
  2. 行動療法の効果: 行動療法や認知行動療法(CBT)は、盗撮癖の治療に効果的であるとされています。CBTでは、患者が自らの行動を認識し、望ましくない行動を制御するための具体的なスキルを学ぶことを目的としています。

どう対処すれば良いのか

盗撮癖を克服するためには、専門的な支援が重要です。以下の方法が推奨されます。

  • 心理療法、カウンセリング: プロの心理カウンセラーやセラピストによる支援を受けましょう。根本的な心理的問題を解決する助けになります。

  • 自助(支援)グループ: 同じような問題を抱える人々との交流や経験の共有しましょう。自分の行動に対する理解を深めることができます。

  • 教育や啓発: 盗撮が引き起こす法律的・倫理的な問題について学ましょう。他人への配慮や尊厳などを育むことが大切です。

なお、盗撮(覗き)だけでなく、痴漢、露出、付き纏い、強制わいせつなど、さまざまな性加害行為にも同様のことが当てはまることが多いと思われます。